2007年4月からの公的年金改正

 2007年4月からの公的年金制度の改正事項をご紹介します。
 いずれも重要な改正事項です。
 
70歳以上の在職老齢年金制度が導入されました


 70歳以上の年金受給者が、社会保険の適用事業所で働いている場合、65歳以上の在職老齢年金と同様の仕組みで、年金がカットされるようになりました。(在職老齢年金のしくみについては、「定年退職前の準備」の「60歳以降も働く場合の国の年金」
を参照ください)
 対象となるのは、2007年4月1日以降に70歳になった人です。
 70歳以上の人は厚生年金加入者にはなれませんので、在職老齢年金の計算には、被保険者であったとみなした場合の給与額と賞与額から計算する「総報酬月額相当額」を用いますが、計算自体は65歳以降の在職老齢年金制度の場合と変わりません。

 




老齢厚生年金の繰り下げ支給が開始されました



 老齢厚生年金の受給を繰り下げし、増額した老齢厚生年金を受けることができるようになりました。
繰り下げできるのは、65歳の誕生日以降から70歳までの間です。
 繰り下げによる増加率は、0.7%×繰り下げ月数(老齢基礎年金の繰り下げ増加率と同じ)です。

   
繰り下げ支給のイメージ

 
厚生年金の離婚分割が開始されました


 2007年4月以降に成立した離婚について、厚生年金の分割が可能になりました。
厚生年金の保険料納付記録を夫婦で合意の上分割します。合意で決まらなければ、裁判所が割合を決定します。 いずれの場合も、按分割合は1/2が上限です。
分割が認められると2007年4月以前の婚姻期間中の標準報酬額記録がすべて対象になります。
 分割分を差引きし(配偶者は加え)た新しい厚生年金の加入期間の標準報酬の記録から、厚生年金額がそれぞれに計算されます。
 対象になるのは厚生年金のみで国民年金は分割されません。
 この離婚分割の請求は、離婚後2年以内にする必要があります。
  

 
遺族厚生年金制度の見直し


 65歳以上で老齢厚生年金の受給資格のある妻が、遺族厚生年金も受けられる場合、従来は、次のいずれか高い年金の組み合わせでした。
  (1)老齢基礎年金+自分の老齢厚生年金
  (2)老齢基礎年金+遺族厚生年金(=夫の老齢厚生年金の3/4相当額)
  (3)老齢基礎年金+自分の老齢厚生年金の1/2+遺族厚生年金の2/3


(3)を選択した場合、2007年4月1日以降に受給権が発生した遺族は、まず「自分の老齢厚生年金」を優先して受け、従来の(3)との差額を遺族厚生年金として受け取ることになりました。

本人申し出による年金給付の支給停止制度の開始


 年金を受けている人が申し出れば、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに、全額支給停止することができるようになりました。
年金の支給停止は、希望すればいつでも将来受け取り分については撤回することができます。以降、年金の支給が再開されます。
 但し、 過去の支給停止期間中の年金は支給されません。

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