企業年金のポータビリティの拡充
 
将来への年金受給への道がいちだんと広くなりました


 2004年の公的年金改正による企業年金通算に係る項目が、10月1日に施行されました。これにより、転籍・退職をした場合の加入期間の通算制度、所謂ポータビリティが拡充され、将来の年金受給につながる道がさらに広がることになります。
 

年金を受給のための要件


 当基金では、年金を受けるための要件を次のように定めています。

(1) 加入期間が15年以上(2004年4月以前に移行前の厚生年金基金加入員だった人は、その期間も含みます)
(2) 退職時(加入者資格喪失時)の年齢が50歳以上


  これらの要件を満たさない場合は、年金ではなく一時金として受けることになります。
これを「脱退一時金」と言います。一時金額は、退職時の個人口座残高となります。

 ただし、(1)の「加入期間15年以上」を満たした上で、(2)の「退職時年齢が50歳以上」を満たさない場合(例:加入期間22年、47歳退職)には、脱退一時金の受給を60歳以上になるまで繰り下げ、年金で受けることができます。(詳細は「年金・一時金の繰上げ・繰下げ受給」をご覧下さい。)
 一方、(1)の「加入期間15年以上」を満たさない場合は、退職時の脱退一時金のみということになり、年金として受ける方法はありませんでした。
   

加入期間が短い場合にも年金を受給できるように改正

 一般に年金の受給には、一定の加入期間は欠かせない要件とされ、それを満たすことなく転職を繰り返すと、せっかく企業年金制度に加入していても将来の年金受給への道が閉ざされてしまいます。この10月から、こうした短期加入者(当基金の場合は加入者期間15年未満)の場合でも、加入期間を通算して年金の受給が出来るよに制度が改正されました。

 拡充された通算制度の仕組みは、下図のようになります。
  

(1)
確定拠出年金採用企業への転籍・転職
 
⇒脱退一時金をその個人口座に移すことができ、加入期間も通算される
(2)
企業年金連合会へ脱退一時金を移す
 
⇒移換額を連合会が運用し、それを原資とした通算企業年金を受けられる
なお、ほかの会社の確定給付企業年金・厚生年金基金へ直接脱退一時金を移して加入期間を通算する方法もありますが、これは、転職先の確定給付企業年金・厚生年金基金の規約で受け入れを定めることが必要とされているため、今回は割愛します。
広がる年金通算の選択肢


 新しい企業年金の通算制度では、どういう方法で年金をつなげる(=通算する)かは、本人が選択し、申し出ることになります。そのために必要となる情報は、転職元・転職先の会社または基金が提供する義務を負います。当基金では、転職(資格喪失)時に、以下の基本情報を提供し、下図のような選択方法についてご説明します。

   

中途脱退者に当年金基金が説明・提供する基本情報

(1)
脱退一時金相当額とその算定基礎となった当基金の加入期間
(2)
資格喪失時の選択肢
(3)
脱退一時金を選択した場合の税金の取扱い
(4)
1年以内に再就職した場合の選択肢
(5)
移換申し出の期限
(6)
連合会の通算企業年金・個人型確定拠出年金の制度の概要、手数料及び連絡先
 
基金加入者の選択肢

 退職時に転職先が決まっていないなどの場合は、退職時から1年間に限り選択を保留することも可能です。再就職先が決まったときに、転職元の会社もしくは基金に、選択した内容を申し出てください。

(転職先の確定拠出年金への移換では、退職から1年経過日、または確定拠出年金加入日から3ヵ月経過日の、いずれか早い日が申し出の期限となります。)

 なお、 退職日から1年を超えても申し出を行わなかった場合は、転職元の会社もしくは基金から脱退一時金が支払われることになります。


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