2005年4月実施の改正内容


年金制度改革法案が2004年6月に可決され、公的年金は大幅な改正の時期を迎えています。
今回の改正事項は2004年10月から2017年9月まで多岐にわたり段階的に施行されます。個々の改正内容により、実施時期が異なります。

ここでは、2005年4月に実施された改正事項について主なポイントについてご案内します。
 


1.子育て支援
  次世代育成支援の一環として以下の改正が行なわれました。 

(1)厚生年金の保険料免除期間の延長    
   育児休業を取得した場合の厚生年金保険料の免除期間が延長されました。
  (2)勤務時間の短縮にともなう年金額の算定方法の新設
 
   子どもが3歳までの間、勤務時間を短縮し、そのために標準報酬が低下した場合、子どもが生まれる前(育児休業前)の標準報酬で保険料を納付したとみなして年金額を算定するしくみが新設されました。

2.60歳代前半の在職老齢厚生年金制度のしくみの変更

  老後の暮らしにも影響がでないように、また、働いている60歳から64歳の厚生年金受給者の就労意欲を妨げないようなしくみに改正されました。
  (注) 総報酬月額相当額とは、年金額と給与に年間の賞与分(月額)を加えたものをいいます。「給与(標準報酬月額)プラス年間賞与の1/12」で計算されます。
 
〜 60歳代前半の在職老齢年金の支給調整の計算式 〜

(1) 年金月額と給与の合計額が28万円以下の場合
    ⇒ 支給停止なし(全額年金支給) 

(2) 年金月額と給与の合計が28万円を越える場合
    ⇒ 下表の通り
支給停止額の計算式
年金月額が
28万円以下
給与が48万円以下
(給与+年金月額-28万円)×1/2
を支給停止
給与が48万円以上
(48万円+年金月額-28万円)×1/2+
(給与-48万円)を支給停止
年金月額が
28万円以上
給与が48万円以下
給与×1/2を支給停止
給与が48万円以上
(48万円×1/2)+(給与-48万円)
を支給停止
 
 
基金の年金と雇用保険との給付調整

65歳未満で国の老齢厚生年金の受給権を得た人が、雇用保険法による失業給付を受けている間、老齢厚生年金は支給停止となり支給されませんが、基金の年金は支給されます。
 
3.第3号被保険者の特例届出の実施
  
(1)日本の年金制度の体系図および職業による被保険者の種別

  日本の年金制度の体系図は下図のようになっています。
  このうち、皆さんが加入している制度は、太枠ブルーの背景色の部分です。

  また、職業により、被保険者の種別が異なります。


(2)種別変更届の届出先の変更について


厚生年金保険の加入者の配偶者が離職して被扶養者になる場合、国民年金の加入種別が第2号から第3号に変わります(下表参照)。この際、「種別変更届」を提出する必要があります。

2002年4月からは、届出漏れの防止や届出手続きを簡素化するために、健康保険の被扶養者申請を行う際、年金手帳を添付して夫または妻(配偶者)の勤める会社経由で、会社を管轄する社会保険事務所に第3号被保険者の変更届を提出することになりました。
〜 ライフステージの変化と種別・届出・保険料について 〜
このような時
配偶者の
種別変更
届出
保険料
・専業主婦(夫)から正社員として
  勤務する 場合(厚生年金加入)
第3号→第2号 必要
(会社が代行してくれます)
自己
負担
・会社を退職し、専業主婦(夫)
 になる場合(離職し被扶養者になる)
第2号→第3号 必要
(夫(妻)の会社に届出ます)
不要
・住所や氏名を変更した場合 第3号のまま 必要
(夫(妻)の会社に届出ます)
不要
・パート・アルバイト
  (社会保険に加入する場合)
第3号→第1号 必要
(市区町村役場に届出ます)
自己
負担
・パート・アルバイト
  (社会保険に加入しない場合)
第3号のまま 不要 不要
・夫(妻)が定年退職し、年金生活
 を始める場合
第3号→第1号 必要
(市区町村役場に届出ます)
自己
負担
・夫(妻)が他の会社へ転職・
  再就職する場合 
第3号のまま 不要 不要
・夫(妻)が自営業等へ転職する場合 第3号→第1号 必要
(市区町村役場に届出ます)
自己
負担
・夫(妻)との離別・死別する場合 第3号→第1号 必要
(市区町村役場に届出ます)
自己
負担
 
(3)
第3号被保険者の届出漏れの救済措置 

上表のように被保険者の区分が第3号被保険者に変更になっているのに、届出を忘れておられる方もいらっしゃいます。

今までの制度では、届出を忘れた場合、2年前までの期間しか遡って届出はできず、それ以前の期間は「保険料を未納している」ことと同じ扱いになります。

そのため、未届けのまま何年も暮らしていると、将来年金を受給する時、予想していた金額よりも低く
なってしまいます。

そこで、今回の改正では、届出を忘れてしまった方に、特例的に届出をしていただくことができるようにしました。

会社経由で会社を管轄する社会保険事務所に届出をしていただければ、2年前以前の期間も第3号被保険者期間として取り扱い、将来、その分の基礎年金を受取ることが出来るようにしています。

ご自身や配偶者の方の年金加入歴など、詳細については、市区町村役場や社会保険事務所にお問い合わせください。
なお、2年前以前の届出に使用する用紙は事業所に準備しています。

 

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