プレスリリース

2021年06月28日
昭和電工マテリアルズ株式会社

国立がん研究センターと新型コロナウイルスに対する細胞性免疫の
迅速な検査法開発に関する共同研究契約を締結

 昭和電工マテリアルズ株式会社(取締役社長:丸山 寿、以下、昭和電工マテリアルズ)は、国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、所在地:東京都中央区、以下、国立がん研究センター)と、新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2)に対する迅速な細胞性免疫検査法*1の開発に関する共同研究契約を3月に締結し、4月より共同研究を開始しましたのでお知らせします。

 新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)が世界的に流行し、さまざまな研究機関や企業によってSARS-CoV-2に対する各種検査法が開発されてきました。COVID-19の診断方法としては、SARS-CoV-2が体内に存在するかを調べるPCR検査や抗原*2検査が全世界で用いられていますが、感染既往を把握するための疫学調査やワクチンの効果判定等では、SARS-CoV-2に対する獲得免疫*3の指標として血液中の抗体*4の有無を調べる抗体検査が用いられています。
 獲得免疫には、抗体を作ることで抗原に対抗する液性免疫と免疫細胞自体がウイルス等に感染した異常細胞を攻撃・排除する細胞性免疫があります。現在用いられている抗体検査は、液性免疫の獲得状況を把握する検査です。一方の細胞性免疫は液性免疫よりも比較的長く免疫力を維持できることがいくつかの研究により明らかになっており*5、細胞性免疫も感染防御に重要な役割を担っていることが知られています。そのため、細胞性免疫検査は、今後も発生し得るさまざまなSARS-CoV-2の変異株に対する獲得免疫の強さやワクチンの有効性を評価する上で、重要な位置づけになると考えられます。しかしながら、既存の細胞性免疫の検査方法は、いずれも煩雑で2日から1週間要することから、多くの検体を検査するには適していないという課題があります。

 これらの課題を解決するため、昭和電工マテリアルズは、国立がん研究センター先端医療開発センター(センター長:落合 淳志、所在地:千葉県柏市、以下、先端医療開発センター)の中面 哲也免疫療法開発分野長らとともに、SARS-CoV-2に対する細胞性免疫検査法の開発に関する共同研究契約を締結し、迅速に評価する新しい検査方法の開発に着手しました。
 先端医療開発センターの中面免疫療法開発分野長らは、がん免疫治療法の研究を応用し、SARS-CoV-2に対する細胞性免疫に関連するワクチン開発の研究も実施しています。本共同研究では、中面免疫療法開発分野長らが中心となり、ワクチン開発研究で見出された知見や解析技術を駆使し、検査法のコンセプト設計に取り組んでいます。また、昭和電工マテリアルズでは、同グループにおいて体外診断用医薬品等の事業を担う日立化成ダイアグノスティックス・システムズ株式会社(7月にミナリスメディカル株式会社へ社名変更予定)、ならびに米国を拠点にライフサイエンス関連技術開発研究を担うShowa Denko Materials (America), Inc. Research Centerが本共同研究に参画しています。同2社が有する細胞性免疫検査等の測定基盤技術、開発力および海外ネットワークを生かし、当日内に結果が得られる迅速検査キットの製品開発を推進するとともに、日本、米国等の地域で広く事業展開することを目指しています。
 また、本共同研究の成果は、COVID-19だけでなく、将来、危惧される新興感染症*6の世界的大流行においても疫学調査やワクチンの効果判定等に役立つことが期待されます。

 昭和電工マテリアルズは、グループの創造力を結集し、将来的な個別化医療の実現に向けた「予防、診断、医療」を支援する技術・製品・サービスを創出し、事業を通じた生活の質(QOL)向上に貢献してまいります。

 

*1 細胞性免疫検査法:T細胞とよばれるリンパ球が主体となり、免疫細胞自体が異物を攻撃する免疫反応のことを細胞性免疫といい、細胞性免疫検査法とは、特定の抗原刺激により活性化される抗原特異的T細胞を調べる検査法等のこと
*2 抗原:ウイルス等の異物が持つ特有のタンパク質のこと
*3 獲得免疫:ウイルス等の抗原と接することにより誘導される、抗原特異的な免疫応答のこと。獲得免疫には、液性免疫と細胞性免疫があり、両者とも感染防御に重要な役割を担っていることが知られている。
*4 抗体:抗原を排除するために産生されるタンパク質(免疫グロブリン)のこと
*5 Cañete PF, Vinuesa CG. Cell. 183:14(2020)など
*6 新興感染症:最近新しく認知され、局地的にあるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症のこと。後天性免疫不全症候群(AIDS)、腸管出血性大腸菌感染症(O-157)、エボラ出血熱、重症急性呼吸器症候群(SARS)などが該当する。

以上