ブラダーなどゴム製品の耐熱性を向上し劣化を抑制する架橋剤

対象業種自動車タイヤメーカー/ブラダーメーカー/ブチルゴムメーカー

用途想定ブチルゴム用樹脂添加剤

アルキルフェノール樹脂<PRシリーズ>

合成ゴムのひとつであるブチルゴムは、耐熱性、耐候性、耐水性、耐薬品性といった様々な特性に優れた材料です。その特性を活かして、コンデンサパッキン、高圧スチームホース、医療品用ゴム栓、ゴム手袋といった多岐にわたる製品に使われています。その用途の中に自動車用のタイヤ製造時に使われるブラダーがあります。ブラダーとはゴム製の治具であり、これを使用してタイヤの表面に凹凸形状を形成します。このブラダーは繰り返し使用するたびに劣化するため、生産効率の観点から、ブラダー自体の耐久性、耐熱性の向上が必要とされています。 当社のアルキルフェノール樹脂<PR2500>をブチルゴムに添加することで、ブチルゴムを主原料とするブラダーの耐熱性や引張強さを向上し、タイヤ製造の生産性向上が期待できます。

課題解決

熱処理後の引張強さの劣化を抑制し、ブラダーの耐熱性を向上

タイヤの製造工程は、混合、材料加工、成型、加硫、検査の5つの工程で成り立っており、ブラダーは4つ目の工程である加硫工程で使用されます。
加硫工程では、スチームやガスで膨らませたブラダーで、タイヤを金型に押し付けて加熱・加圧します。ブラダーは、数百個のタイヤひとつひとつにこの動作を繰り返し、膨らませて熱や圧力を加えるたびに劣化するため、ブラダー自体の耐久性や耐熱性が必要とされています。

ゴムの添加剤として一般的に硫黄が使われてきましたが、硫黄で架橋されたブチルゴムは熱に弱く、耐熱性が劣るという課題があります。当社のアルキルフェノール樹脂<PR2500>をブチルゴムの添加剤として使用した場合、硫黄と比較すると熱処理後(耐熱老化試験177℃×96h)の引張強さが約2.7倍。他社のアルキルフェノール樹脂添加剤と比較しても熱処理後の引張強さが約2倍と、耐熱性に優れています。当社のアルキルフェノール樹脂<PR2500>をブチルゴムの添加剤として使用することで、ブチルゴムを主原料とするブラダーの耐熱性や耐久性の向上が期待できます。

タイヤ製造の成型工程~検査工程

タイヤ製造の成型工程~検査工程 イメージ

耐熱老化試験(177℃×96h)後の引張強さ保持率の比較

引張強さ保持率の比較 イメージ
  • 他社アルキルフェノール樹脂は文献値からの推測
  • ブチルゴム100部、クロロプレンゴム5部、カーボンブラック50部、オイル5部、酸化亜鉛5部、PR2500 10部
  • 加硫条件190℃×30分
  • PR2500の軟化点は80~95℃
  • 掲載のデータは、測定や計算等の結果の一例を示した代表値であり、保証値ではありません。

特長

残存溶剤が少なく悪臭が少ない

当社アルキルフェノール樹脂<PR2500>はタイヤ製造工程で悪臭の原因となる樹脂中のトルエン残存溶剤量が他社アルキルフェノール樹脂の約10分の1に抑えられています。そのため、ブチルゴムのゴム練り工程などで、工程の悪臭を低減し、作業環境の改善が期待できます。

当社アルキルフェノール樹脂<PR2500>と他社アルキルフェノール樹脂の残存溶剤量の比較

当社アルキルフェノール樹脂<PR2500>と他社アルキルフェノール樹脂の残存溶剤量の比較 イメージ

油と水になじみやすくブチルゴムと混錬しやすい

当社アルキルフェノール樹脂<PR2500>は、滑りの良い親油性のアルキル基と、親水性の水酸基の両方を有します。ブチルゴムは滑りの良い親油性のため、そのままでは混錬設備との密着性が弱く、剥がれ落ちてしまい混錬が困難です。
当社アルキルフェノール樹脂<PR2500>を添加すると、親油性のアルキル基によりブチルゴムと良くなじみます。また、べたつき易い親水性の水酸基で適度な混錬設備との密着性が生まれることで、混錬のしやすさが期待できます。

アルキルフェノール樹脂<PR2500>の構造例

アルキルフェノール樹脂<PR2500>の構造例 イメージ

技術資料ダウンロード

資料では、他社材・硫黄で架橋したブチルゴムとの特性比較などデータがご覧になれます。

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