負極へのシリコン系活物質の添加量を高め、電池の高容量化に貢献

対象業種リチウムイオン電池メーカー

用途想定自動車向け駆動用電池/民生電池

リチウムイオン電池用バインダー

環境意識の高まりから電動化が進む自動車分野では、駆動用電源として使用されるリチウムイオン電池にさらなる高容量化が求められています。その実現に向けて、負極の活物質は、従来の黒鉛より理論容量が高いシリコンなど金属素材の活用が検討されています。 しかし、シリコン系活物質は充電時に体積が膨張する性質をもつため、充放電に伴って膨張収縮が起こります。リチウムイオン電池の高容量化に向けたシリコン系活物質の活用は、充放電時に体積の膨張と収縮の繰り返しによって活物質同士、または活物質と集電体が剥離することが課題になっています。 当社のリチウムイオン電池用バインダーは、塗膜強度に優れたポリアミドイミド樹脂を採用しています。活物質の膨張収縮時も接着を維持し、リチウムイオン電池のサイクル特性の向上に寄与します。

課題解決

シリコン系負極の体積変化を抑制し、電池のサイクル特性を向上

リチウムイオン電池の高容量化実現のため、負極の活物質を黒鉛から、理論容量が高いシリコン系活物質を活用する研究開発が進められています。その一方で、シリコン系活物質は充放電時の体積変化が大きい性質をもっています。充放電時に繰り返し膨張収縮する活物質は、活物質同士や活物質と集電体の剥がれや、電極の変形・割れの発生要因となり、電池のサイクル特性を悪化させてしまいます。
当社のリチウムイオン電池用バインダーは、弾性率が2.5GPa以上、引張強度は100 MPa以上の強い塗膜を形成するポリアミドイミド樹脂を採用しています。シリコン系活物質の膨張収縮による電極の変形を抑制することができます。
また、従来のバインダーでは、電極の変形・割れを抑制するため、体積変化の大きなシリコン系活物質の添加量は、負極材の数%にとどまざるを得ませんでした。当社のバインダーは、シリコン系活物質の添加量を30%まで高めた場合でも、電極の変形を抑え、サイクル時の電池容量を維持します(100サイクル70%以上。当社試験結果)。シリコン系活物質の添加量を増やし、リチウムイオン電池の高容量化に寄与します。

ラミネートセル電池特性評価試験

ラミネートセル電池特性評価試験 イメージ

サンプル仕様

バインダー:

バインダー種類

硬化条件

空気中

真空下

標準タイプ

90℃/2.0h

270℃/0.5h

90℃/2.0h

200℃/2.0h

高強度タイプ

90℃/2.0h

270℃/0.5h

90℃/2.0h

200℃/2.0h

従来材

100℃/2.0h

 

  • セルタイプ:ラミネートセル
  • 負極材構成:シリコン系活物質30/黒鉛70(質量比) *600Ah/kg相当
  • 負極材/バインダー比率:95/5(wt%)

評価条件

  • 充電:CC、CV 0.05 CA、4.2 V、終止1/100 CA
  • 放電:CC 0.05 CA、終止2.5 V

特長

強く剥がれにくい塗膜を形成

当社のリチウムイオン電池用バインダーは、2.5GPa以上の高い弾性率と、100 MPa以上の引張強度を有しています。シリコン系活物質の大きな体積変化に追従・延伸されにくく、電極の変形を抑制します。加えて、集電体の銅箔との接着性にも優れているため、負極電極の信頼性向上に寄与します。また、薬液耐性にも優れ、電解液浸漬後も弾性率や引張特性を維持します。

低温での硬化が可能

当社のリチウムイオン電池用バインダーは、200~270℃の硬化温度で塗膜強度などの特性を発揮します。同等の機能を持つポリイミド系バインダーと比べて、硬化温度を約30~100℃低下することができます。

技術資料ダウンロード

資料では、引張強度などの詳細データやコインセル外観比較試験の結果がご覧になれます。

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