第2回 オープンすぎるほどのオープンイノベーション

─ 半導体実装材料・プロセスのオープンイノベーションを促進 ─
パッケージングソリューションセンタの取り組みに迫る

尾田 倫一(副センタ長)、宮﨑 忠一(主管研究長)、野中 敏央(開発担当部長)

タテだけでなくヨコにも広げて

センタでは、オープンイノベーションを加速するために、半導体実装でトップ技術を有する企業が参画するコンソーシアム「JOINT」を設立。フロア内には、そのコンソーシアムのメンバーのための専用ルームが用意されており、滞在時にはワークスペースとしても活用していただけるようになっている。

もちろんオープンイノベーションや協業・協創、企業間パートナーシップなど、今や、さまざまな業界で盛んに行われている。しかし、このセンタのコンソーシアムについて外部の方々に説明すると、とても驚かれる点がある。コンソーシアムは現在、19社(2020年2月時点)のメンバーで構成されているのだが、実は、その中に当社にとってはコンペティターであるはずの材料メーカーが何社も名を連ねているのだ。まったくの同業他社がコンソーシアムで同じテーブルに着くことは、常識的に考えればタブーである。

「一般的なオープンイノベーションは、ほとんどの場合、サプライチェーンのタテ方向です。分断しているサプライチェーンをタテにつなごうというもの。でも私たちの場合は、タテだけでなく同業であるヨコにも広げています。私たちが持っていない時には、パートナーの材料を使わせていただきます」(野中)


開発担当部長・野中

自分たちの材料は、1つでも2つでも入っていればそれでいい。そもそも当社だけですべての材料を開発から行っていたのでは、決められた時間に間に合わない。
「コンソーシアムのメンバーの材料を使用することでお客さまが希望する時間までにできるのであれば、当然のように使うことをお願いして一緒に進めさせていただきます。それはもう、このコンソーシアムでは、ひとつの決まったパターンになっています」(野中)

オープンな環境で、オープンな関係を

しかし、そこまでオープンなオープンイノベーションが実現するまでには、長い道のりがあった。前身のつくばでのオープン・ラボを振り返ると——
「それなりに同業の材料メーカーの方ともやりとりはありましたが、『なにか一緒に協業できるといいですね』とお声がけしても、『考えてみます』で残念ながら終わってしまっていました」(宮﨑)


主管研究長・宮﨑

どうにかしてヨコの関係である材料メーカーともお互いに強いところを伸ばし合って、一緒に取り組むことができないか——そんな強い想いがあった。

川崎市が計画していたエリアを選んだ理由は、ここにもある。
「実は、当社の工場内に移設したらどうかという話もありました。でも、それではオープンイノベーションを掲げているのに、いちいち厳重なセキュリティチェックを受け、当社の工場の門を通っていただかなくてはいけなくなります。コンソーシアムメンバーの立場に立って考えると、メンタル面のハードルが高くなってしまうと考えました」(野中)

その点、ここは川崎市という、ある意味、公のニュートラルなイメージがある。別の階には多くのスタートアップ企業などが集うインキュベーションフロアもあり、さまざまな企業や人たちが同じ建物で活動している。オープンイノベーションを展開するには最適な場所だった。
「コンソーシアムには規約書と加入のための同意書という契約書があります。お互いがそれに合意した時点で、ひとつのハードルは越えています。そのルールに従いながら積極的に取り組みを進めていくことができます。オープンイノベーションをうまく回していくための手段になっています」(野中)

共通の課題解決のために

すでにコンソーシアムは順調なスタートを切っているが、それには背景がある。製造工程の分業化が進む中で、コンソーシアムのメンバーには共通した悩みがあったのだ。
「今は、お客さまも分業化しているだけでなくグローバルに展開していることもあって、材料メーカーとしても的確なフィードバックをもらえないケースが多々あります。そのため、どこに問題があり、どうやって改善したらよいのかがわかりにくくなっています」(宮﨑)

しかし、このコンソーシアムに加わりメンバーとともに装置を使えば——
「お客さまと同等か、それ以上の評価を一気通貫で行うことができます。材料メーカーや装置メーカーの皆さまには、抱えている悩みを共有し、ともに解決できることのメリットや魅力を感じていただいているのではないでしょうか」(宮﨑)


左から:開発担当部長・野中、副センタ長・尾田倫一、主管研究長・宮﨑

オープンすぎるほどのオープンイノベーションは、市場の変化がもたらした、ひとつのソリューションの形態でもある。

(役職名は2020年2月取材時のものです)

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