第1回 理想を現実に変えた先進の協創施設

─ 半導体実装材料・プロセスのオープンイノベーションを促進 ─
パッケージングソリューションセンタの取り組みに迫る

尾田 倫一(副センタ長)、宮﨑 忠一(主管研究長)、野中 敏央(開発担当部長)、西田 昌貴(R&D担当)、李 欣蓉(R&D担当)

計画段階から実現に向けて

フロアの一角、室内を見通せるガラス越しに黄色い光が差し込んでいる。ここは、清浄度の高いクラス100のクリーンルーム。感光性材料を評価するために紫外線をカットしており、イエロールームと呼ばれている。室内には、さまざまな装置が置かれ、一般的なオフィスビルのように見えた外観からは想像できないような世界が広がる。どうしてこの建物で、このような施設が可能になったのだろうか。

話は、前身となる茨城県つくば市にあったオープン・ラボが、移転先を検討していた頃にさかのぼる。移転の理由、それは——
「お客さまの利便性、新規装置導入などの拡張性、そして何よりもオープンイノベーションを実現するうえでより最適な場所に移りたかったのです」(宮﨑)
2年近くかけて候補地を探し、下見のために足を運んだ場所は20ヵ所以上にも及んだ。

ようやく見つけたのが、川崎市が新産業の創出拠点として計画していた、この新川崎地区の施設だった。
「羽田空港に近く利便性が高いのはもちろん、ともに協業する多くの参画企業からのアクセスもよい場所でした」(宮﨑)
そして、なによりもまだ建物の形も決まっていない段階だった。
「計画段階から川崎市などとのディスカッションに私たちも加わることができました」(野中)

設計からスタートしたため、かなりの時間を要することになったが、3Fを専用フロアとし、さまざまなニーズを満たした施設が生まれた。数々の装置が揃うイエロールームなども、そのおかげで実現できたことで、あらかじめ強度などを考慮したうえで、理想的な広い空間を確保することが可能になったのだ。

最新鋭の装置を導入

専用フロアは、そのクリーンルームも含めた11のラボやオフィスエリアなどで構成されている。最先端の半導体実装装置が導入されており、先端パッケージに対応した試作・評価の一貫ラインで、製造プロセスをトータルに再現することができる。
「多様な装置が用意されていて、最初から最後まで一貫してつくることができる点が大きなポイントになっています」(尾田)

試作の段階で最初から最後まで一貫して実装・評価できる、お客さまにとってのいちばんのメリットは時間だ。
「例えば、AとBのプロセスがあって、それぞれの実装・評価を各装置メーカーで行うとなると、Aが終わってから、次のBのプロセスを試す装置メーカーのマシンが空いているか都合をつけなくてはいけません。そんなふうにして何週間か滞ってしまうと、本来2カ月でできるはずのものが半年かかってしまったりします。でも、ここならトータルで一貫して流すことができるし、失敗したらすぐにプロセスを戻すなど、臨機応変の対応ができます」(野中)


左から:開発担当部長・野中、副センタ長・尾田、R&D担当・李、R&D担当・西田、主管研究長・宮﨑

新たに川崎でスタートしてから、お客さまからの依頼の数はもちろん増えたが、それよりもいただく依頼の質が変わった。
「ワンストップソリューションをかたちにできているのは、材料メーカーでは私たちだけです。そこに期待していただいて、大型の案件や共同開発を一緒にできないかといった依頼が圧倒的に増えました。それがこの川崎に移ってからの大きな変化点です。私たちが、そうしたいと思ってきたことが実現できていることを実感します」(宮﨑)

オフィスエリアも含めトータルに

どうしても最新の装置ばかりに目がいってしまうセンタだが、実はオフィスエリアもユニークなつくりになっている。中央には大樹を模したウッディな柱。それに見守られるようにして、チームごとにゆったり六角形に仕切られたデスクスペースが蜂の巣状に広がる。各々がくるりと回ればいつでもチームで打ち合わせができ、あえて低く設置されたパーテーション越しに、ほかのチームともコミュニケーションが図れる。

「オフィスエリアの奥には、ちょっとした談話スペースもあって、いろいろな人たちが集まって会話することができます」(西田)
「私がこの施設でいちばん好きな場所も、談話スペースにあるゆったり座れるソファです」(李)

一人ひとりにとって快適な場所を見出しながら、新たな取り組みに向かっていく。

(役職名は2020年2月取材時のものです)

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